業務用エアコンを工事する際、真空引きが必要と聞いたことがある人もいるかと思いますが、なぜ真空引きをしないとダメかを聞いたことがある人は少ないかと思います。なぜ真空引きが必要かをお答えしていきます。
目次
真空引きとは
業務用エアコンの室内機と室外機と内外をつないでいる冷媒配管内を真空にすることです。
真空にする方法として真空ポンプという専門の機器を使い真空にします。
真空引きで追い出すもの
配管内の空気を追い出すのと同時に、配管内のチリなどの不純物も一緒に出ていきます。また空気中には水分も含んでおります。この水分も空気と一緒に追い出します。
冷媒配管内に不純物が入ってはいけない理由
配管内にチリなどの不純物が入っているとコンプレッサー(圧縮機)などの部品が故障する原因になります。
例えば車のガソリンタンクに砂を入れることを想像してみてください。フィルターの様なものは入っているかもしれませんが、細かな砂がエンジンまで入り込んでエンジンを傷だらけにして壊してしまうことでしょう。
冷媒配管内は更に繊細で、細かなチリでも業務用エアコンを故障させてしまいます。
冷媒配管内に水が入ってはいけない理由
冷媒の温度変化による物質変化と空気の温度変化による物質変化の特性が異なるため、冷媒配管内に水が入っていてはいけません。
冷媒配管内では圧縮→凝縮→膨張→蒸発という冷媒サイクルが繰り返されております。この過程で冷媒がものすごく冷たくなったり、ものすごく熱くなったりしています。
冷媒は0℃になっても凍りませんが、水は0℃になると凍ります。
もしも冷媒配管内に水が入ってしまった場合、冷媒配管内で氷ができてしまいます。業務用エアコン内部にはとても細い配管も使われております。その細い配管に氷がつまりエアコンの機能を果たさなくなってしまいます。
心筋梗塞や脳梗塞で血管が詰まってしまい心臓や脳の機能を果たさなくなるのと同様です。
業務用エアコン内に水が入ると故障します。
真空引きと似ても似つかないエアパージ
10年以上前にはエアパージという方法が流行っていました。日本語に訳すと「空気を追い出す」となり真空ポンプを使った方法も含まれますが、エアコン業界で「エアパージ」は真空ポンプを使わずに空気を追い出す悪い方法を言う場合によく使われます。今はフロン取り扱いの規制が強化されやっている人は、ほとんどいないと思います。
エアパージという方法はエアコン内に入っている冷媒の圧力を使い、配管内の空気を外へ押し出す方法です。
この方法を使うとエアコンに入っていた冷媒を少し大気に放出してしまうことになります。この少しが地球に悪影響を与えていってしまいます。
この方法は地球に悪影響を与えるだけでなく、規定の冷媒量より減ってしまうので、エアコンの効きが悪くなったり、故障する原因にもなります。
きちっと真空引きをやってもらいましょう。
真空引きに関する質問
Q 業者が室外機の所でシューシュー音を立てていますが何をやっているのでしょうか?
A 3つのことが考えられます
1.耐圧試験が完了し、配管内の窒素ガスを放出している。
窒素ガスを大気に放出することは問題ありません。
普通のことをしているだけです。
工事の終盤での作業時に聞くことがあると思います。
2.フロンガスを大気に放出している。
絶対にやってはいけないことです。
もしも業者がやっている場合は動画を撮影し
追い返し役所に連絡しましょう。
作業の序盤の撤去前に聞くことがあると思います。
3.エアパージをしている。
音がするということはやってしまっているので、
どうしようもないです。役所に言ってもエアパージだと
動いてくれないと思います。
今後その業者には頼まないようにしましょう。
工事の終盤での作業時に聞くことがあると思います。
Q 業者から雨だから配管の工事ができないと言われたが本当にそうなのか?
A 上記でも記載しましたとおり、冷媒配管に水が入ると故障の
原因となります。延期することをおすすめします。
また、それ以上に業者も人間です。
業務用エアコンはとても重い機器です。雨の日の工事は危険度が増します。
もし大怪我をすると設置先のお客さんにも迷惑をかけかねません。