
業務用エアコンから聞き慣れない音がすると、「故障ではないか」「営業中も運転を続けてよいか」と不安になるものです。ただし、エアコンには冷媒が流れる音や部品が温度変化で伸び縮みする音など、故障ではない作動音もあります。
結論から言うと、まず確認すべきポイントは次の4つです。
- 音が室内機と室外機のどちらから出ているか
- 運転開始時だけか、運転中ずっと続くか
- 冷えない、水漏れ、焦げ臭さ、エラー表示を伴っていないか
- 以前より明らかに大きい音、金属がこすれる音、激しい振動ではないか
冷媒の流れや部品の伸縮による一時的な音は、正常な場合があります。一方、音が急に大きくなった、煙や焦げ臭さがある、ブレーカーが落ちる、激しく振動する場合は、運転を止めて販売店や修理業者へ連絡してください。異音だけで部品を断定せず、音が出る条件と併発症状を整理することが大切です。
目次
まず確認するのは「どこから・いつ・どんな音か」
異音の原因を絞るには、音の表現だけでなく発生場所とタイミングが役立ちます。
室内機か室外機かを切り分ける
室内機では、フィルターやパネル、ファン、ドレンポンプ、冷媒の流れなどが音に関係します。室外機では、ファン、圧縮機、外装パネル、配管の振動などが候補になります。
安全な位置から確認し、室内機と室外機のどちらで音が大きいかを記録してください。天井裏や機器内部へ入ったり、運転中のファンへ近づいたりする必要はありません。
発生するタイミングを記録する
「運転を始めた直後」「設定温度へ近づいたとき」「停止直後」「風量を強くしたとき」「雨の日だけ」など、発生条件をメモします。可能であれば、周囲の安全とプライバシーに配慮して10~20秒ほど動画を撮っておくと、業者へ症状を伝えやすくなります。
併発症状を確認する
異音と同時に、冷えない、風が弱い、水が漏れる、焦げ臭い、エラーコードが出るといった症状があれば、単なる作動音ではない可能性が高まります。直近記事の業務用エアコンが冷えない原因とチェック項目もあわせて確認してください。
音の種類から考えられる原因
同じ音の表現でも、機種や設置環境によって原因は変わります。ここでは代表例を紹介しますが、音だけで故障箇所を断定することはできません。
「シャー」「シュルシュル」「プシュー」「水が流れるような音」
冷媒が配管内を流れる音や、運転状態が切り替わるときの音である可能性があります。水が流れるような音や「プシュー」という音は、冷媒の流れや切り替えによって生じる場合があります。
私は冷房運転時の冷媒が流れる「シャー」という音が好きです。この音が聞こえるとこれから涼しくなるぞという合図だからです。
短時間で収まり、冷暖房能力や運転状態に問題がなければ、正常な作動音のことがあります。ただし、以前より大きくなった、運転が止まる、水漏れを伴う場合は点検を依頼してください。
「ピシッ」「パキッ」
運転開始・停止に伴う温度変化で、樹脂部品などがわずかに伸び縮みするときに出る場合があります。数回だけで収まり、ほかに異常がなければ故障とは限りません。
ただし、強い衝撃音が繰り返す、外装パネルが外れかけている、振動が続く場合は、運転を止めて固定状態を確認してもらいましょう。
「カタカタ」「ガタガタ」
フィルターや吸込グリル、外装パネルの取り付け、室外機周辺の物、配管や部材の接触などが考えられます。風量を変えると音が変わる場合は、空気の流れやファン周辺が関係している可能性もあります。
ファンが本体にぶつかっている時にも「カタカタ」音がします。とてもストレスになる音です。ファンは制作の過程でブレが出るようで、ブレを補正するためにおもりがつけられています。そのおもりでブレを調整しています。調整がうまくいっていない場合カタカタと音がする場合があります。
利用者が確認できるのは、取扱説明書に沿ったフィルターの取り付けと、吸込口・吹出口付近に異物や荷物がないかまでです。ねじを増し締めしたり、カバーを分解したりせず、継続する場合は点検を依頼してください。
「ゴー」「ブーン」
ファンや圧縮機の運転音として出ることがありますが、以前より明らかに大きい場合は注意が必要です。フィルターの目詰まり、ファンの汚れ、部品の摩耗、室外機の振動など、複数の可能性があります。
フィルターが汚れていれば取扱説明書に従って清掃し、改善しなければ専門業者へ相談します。内部のファンや熱交換器の洗浄は分解・養生が必要になるため、業務用エアコンのクリーニングを専門業者へ依頼する範囲です。
「キーン」「キーキー」「金属がこすれる音」
高い連続音や金属的な摩擦音は、ファンモーター、軸受け、ファンと周辺部品の接触などが考えられます。回転部品の不具合は放置すると音や振動が大きくなるおそれがあるため、無理に運転を続けないでください。
利用者が潤滑油を差したり、回転部へ触れたりするのは危険です。停止して点検を依頼します。
「カチカチ」「カチッ」を繰り返す
運転の切り替えに伴う単発の作動音であれば正常なことがあります。一方、起動できないまま音を繰り返す、エラー表示が出る、ブレーカーが落ちる場合は、制御部品や電気系統などの点検が必要です。
短時間に電源やブレーカーの入切を繰り返さず、エラーコードを写真に残して修理業者へ連絡してください。
自分で確認できる範囲
異音がしたとき、利用者が安全に確認できるのは次の範囲です。
- リモコンの運転モード、風量、エラー表示を確認する
- 音の発生場所、時刻、継続時間、併発症状を記録する
- 室内機の吸込口・吹出口に物がないか見る
- 取扱説明書に従い、運転を止めてフィルターの汚れと取り付けを確認する
- 室外機の周囲に段ボール、落ち葉、カバーなどがないか、安全な距離から見る
高所での無理な作業、外装カバーの取り外し、電装部品への接触、運転中のファン確認、冷媒配管の分解は行わないでください。フィルター清掃や周辺の障害物を除いても音が続く場合は、点検を依頼します。
すぐ運転を止めるべき異音・症状
次の症状がある場合は、通常の作動音と決めつけず、リモコンで運転を止めてください。安全に操作でき、取扱説明書や施設の管理手順で定められている場合は、専用ブレーカーを切り、販売店・管理会社・修理業者へ連絡します。
- 煙、焦げ臭さ、火花を伴う
- ブレーカーが繰り返し落ちる
- 金属を削るような大きな音や激しい振動がある
- 外装パネルや部品が外れかけている
- 電気部品の近くで水漏れしている
- 音と同時に運転が止まり、エラーコードが表示される
異常がある状態でブレーカーを何度も復帰させたり、音を確認するために再運転を繰り返したりしないでください。
修理業者へ伝えると診断が進みやすい情報
点検を依頼するときは、次の情報をまとめておくと原因の切り分けに役立ちます。
- 室内機と室外機のメーカー・型式
- 室内機・室外機のどちらから音がするか
- 「カタカタ」「キーン」など音の特徴
- いつから、どのタイミングで、何分ほど続くか
- 全台か1台だけか
- 冷え方、風量、水漏れ、異臭、振動の有無
- リモコンのエラーコード
- フィルターと周辺障害物を確認した結果
- 可能であれば異音が分かる動画
異音の原因によっては、ファンやモーター、圧縮機などの診断が必要です。圧縮機が疑われても音だけでは確定できないため、測定結果を確認しましょう。修理の流れを知りたい場合は業務用エアコンを修理する場合の予備知識も参考にしてください。
異音を防ぐためのメンテナンス
フィルターの詰まりや内部の汚れは、風量低下や運転音の変化につながることがあります。フィルターを定期的に確認し、室外機の周囲を物置にしないことが基本です。
また、音が小さい段階で変化に気づけるよう、通常運転時の音を把握しておきましょう。ダイキンも、異常な音やにおいが現れたときは早めのメンテナンスが必要と案内しています。使用環境によって汚れ方や部品の負担は異なるため、一律の年数だけで判断せず、メーカーの取扱説明書と点検結果に基づいて計画します。
よくある質問
水が流れるような音は故障ですか?
冷媒が配管内を流れる音や運転の切り替え音で、正常な場合があります。短時間で収まり、冷暖房や運転状態に問題がなければ様子を見られることもあります。ただし、音が以前より大きい、水漏れや運転停止を伴う場合は点検を依頼してください。
フィルターを掃除すれば異音は直りますか?
目詰まりによる風切り音などは改善する可能性がありますが、ファン、モーター、圧縮機、固定部品などが原因なら直りません。取扱説明書に沿った清掃後も続く場合は、分解せず専門業者へ相談してください。
室外機の「ブーン」という音は正常ですか?
ファンや圧縮機の運転に伴う音のことがあります。以前と同程度で、振動や能力低下がなければ正常音の可能性がありますが、急に大きくなった、金属音や激しい振動を伴う場合は点検が必要です。ダイキンも、以前より音が大きい、突然音がするようになった場合は点検を勧めています。
異音がしても冷えていれば運転を続けてよいですか?
冷えているだけでは安全とは判断できません。焦げ臭さ、煙、ブレーカー作動、大きな金属音、激しい振動、水漏れがあれば停止してください。併発症状がなくても、音が急に大きくなった、長く続く場合は早めに点検を依頼します。
修理依頼の前に録音してもよいですか?
安全な位置から動画や音声を記録すると、症状を伝える手掛かりになります。ただし、録音のために天井裏へ入る、室外機へ近づく、カバーを開けるといった危険な行為はしないでください。
業務用エアコンからの異音 まとめ
業務用エアコンの異音は、冷媒の流れや部品の伸縮による正常な作動音から、ファン・モーター・圧縮機などの不具合まで原因がさまざまです。まず「どこから・いつ・どんな音がするか」と、冷えない、水漏れ、異臭、エラー表示などの併発症状を記録してください。
利用者ができるのは、設定とエラー表示、フィルター、吸込口・吹出口、室外機周辺の安全な確認までです。煙、焦げ臭さ、ブレーカー作動、大きな金属音、激しい振動がある場合は運転を止め、再運転を繰り返さずに点検を依頼しましょう。
