
飲食店の厨房は、ガスコンロやフライヤー、オーブンなどから大量の熱が発生する過酷な環境です。さらに、油煙やオイルミストが空気中に漂うため、一般的なエアコンでは短期間で故障してしまうケースも少なくありません。
「厨房にはどんなエアコンを選べばいいの?」
「家庭用エアコンでも大丈夫?」
「厨房専用エアコンは必要?」
このような疑問を持つ方に向けて、厨房に設置するエアコンの選び方と、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
目次
厨房に設置するエアコンの選択肢
厨房に設置するエアコンは、厨房の大きさや使用環境によって大きく3つの選択肢があります。
- 家庭用ルームエアコン
- 店舗用の業務用エアコン
- 厨房専用の業務用エアコン
それぞれにメリット・デメリットがあり、厨房の規模や予算、調理内容によって最適な機種は異なります。
家庭用ルームエアコンを選ぶ場合
小規模な厨房で、調理機器の発熱量がそれほど大きくない場合には、家庭用ルームエアコンを選択するケースもあります。
最大のメリットは、導入費用を抑えられることです。機器価格も工事費も比較的安く、初期費用をできるだけ抑えたい店舗には魅力的な選択肢になります。
しかし、厨房環境との相性は決して良くありません。
厨房内には油煙やオイルミストが多く漂っており、エアコンがそれらを吸い込むことで、内部の熱交換器やファンに油が付着していきます。
その結果、
- 冷暖房能力の低下
- 電気代の増加
- 水漏れ
- 異臭の発生
- 故障リスクの上昇
など、さまざまなトラブルにつながります。
家庭用エアコンは、あくまでも一般的な居住空間で使用することを前提に設計されているため、油を多く使用する厨房では長期間の使用には向いていないと言えるでしょう。
店舗用の業務用エアコンを選ぶ場合
小規模から大規模の厨房まで幅広く対応できるのが、店舗用の業務用エアコンです。
店舗用の業務用エアコンには、さまざまな形状があります。
天井カセット形
天井に埋め込むタイプです。
壁面を使用しないため、棚や調理器具が多い厨房でも設置しやすく、見た目もすっきりします。
天吊形
天井から吊り下げるタイプで、天井裏のスペースが少ない場合にも対応できます。
吹き出し距離が長く、比較的広い厨房にも対応できます。
ビルトイン形
本体を天井裏に隠し、ダクトを通して空調を行うタイプです。
ダクトの取り回しによって、空調したい場所へ効率よく冷気を送ることができます。
壁掛形
設置工事が比較的容易で、比較的小規模な厨房に採用されることがあります。
ただし、壁面スペースが必要になるため、設備が多い厨房では設置場所が限られる場合があります。
店舗用の業務用エアコンにも定期洗浄は必要
業務用エアコンだからといって、油に強いわけではありません。
厨房で使用すると、家庭用エアコンと同様に油やオイルミストを吸い込み、内部は徐々に油で汚れていきます。
熱交換器が油で詰まると、
- 冷えない
- 電気代が高くなる
- エラーが発生する
- 故障する
といった症状が現れます。
そのため、厨房で業務用エアコンを使用する場合には、定期的なエアコン洗浄が非常に重要になります。
油を吸わせにくいおすすめの設置方法
厨房内の油をできるだけ吸わせたくない場合には、ビルトイン形エアコンを利用する方法があります。
例えば、フロア側の天井裏にビルトイン形エアコンを設置し、ダクトだけを厨房へ引き込む方法です。
この方法であれば、エアコン本体を比較的油の少ない場所に設置できるため、機器への負担を大幅に軽減できます。
また、ダクトの吹出口を工夫することで、厨房内の必要な場所へ効率的に冷気を送ることも可能です。
ただし、
- 天井裏スペースの確保
- ダクト工事
- 点検スペースの確保
など、見えない部分の工事が必要になります。
そのため、通常の業務用エアコンよりも工事費用は高くなる傾向があります。
厨房専用の業務用エアコンを選ぶ場合
厨房環境に最も適しているのが、厨房専用の業務用エアコンです。
厨房専用エアコンは、主に天吊耐油形としてラインナップされています。
ステンレス製の外板
厨房は湿気や油分が多いため、サビや汚れへの耐久性が求められます。
厨房専用エアコンは外板がステンレス製になっており、一般的な業務用エアコンよりも過酷な環境に対応できます。
油が詰まりにくい熱交換器
内部の熱交換器のフィン間隔が広く設計されているため、油が付着しても詰まりにくい構造になっています。
そのため、通常の業務用エアコンよりも性能低下しにくいのが特徴です。
スポット空調にも対応
機種によっては、本体の両側にダクト接続口が用意されています。
ダクトを利用することで、
- コンロ前
- 中華鍋を振る調理場
- フライヤー周辺
など、特に暑くなる場所へピンポイントで冷気を送ることができます。
厨房で作業するスタッフの負担軽減や熱中症対策にも非常に効果的です。
厨房専用エアコンならメンテナンス不要?
結論から言えば、メンテナンスは必要です。
厨房専用エアコンであっても、長期間使用すれば内部には油が蓄積します。
ただし、
- 油に強い構造
- 詰まりにくい熱交換器
- 耐久性の高い部材
が採用されているため、一般的な業務用エアコンよりも厨房環境に適していることは間違いありません。
厨房で長期間安定して使用したい場合には、非常に有力な選択肢になります。
まとめ|厨房の環境に合わせたエアコン選びが重要
厨房用エアコンを選ぶ際は、単純に価格だけで決めるのではなく、厨房の規模や油の発生量、レイアウトまで考慮することが重要です。
- 小規模で予算を抑えたいなら「家庭用ルームエアコン」
- 幅広い厨房に対応するなら「店舗用の業務用エアコン」
- 油の多い厨房や長期使用を考えるなら「厨房専用の業務用エアコン」
どの機種を選んでも、厨房は非常に過酷な環境であることに変わりはありません。
導入後の定期洗浄やメンテナンスも含めて計画することで、エアコンを長く快適に使用できます。
厨房の環境に最適なエアコンを選び、スタッフが快適に働ける厨房づくりを目指しましょう。
